カテゴリー「書評」の29件の記事

「渋滞」の先頭は何をしているのか?

10/22
「渋滞」の先頭は何をしているのか?(宝島社新書)西成活裕 著

テレビにも時々出演している「渋滞学」権威の著書。
数学的に難しい説明はほとんどなく、少々のグラフと四則計算のみで
自動車に限らず、森羅万象の渋滞について、
その原因や解決方法を述べていて、面白く仕上がっている
本だ。

巡航しているものの、車間が詰まって高い緊張状態を
余儀なくされるのを「メタ安定」状態という
ようだ。
皆がこういう状態を避けて運転することが渋滞回避に役立つという。
東名高速だと、絶対的な交通量が多い場合、車間を空けても
割り込まれてしまうから意識してもムダかもしれないが。

交通安全=慎重さばかり強調するのも問題だ。
トラックのように重く、加速する能力が低ければ仕方ないが、
例えば、(右折レーンのない片側1車線道路で)右折するときは、
明らかに反応の遅い、判断の鈍いドライバーのせいで、
後続の渋滞とイライラの種は撒かれているように思えてならない。

この本を一読しておけば、自分が渋滞の原因になる可能性は
確実に減らすことができると思う。また渋滞に嵌まってしまっても、
逆に渋滞を「観察」するくらいの心の余裕ができるかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (1)
|

「伝統の逆襲」

9/14

「伝統の逆襲」日本の技が世界ブランドになる日
 奥山清行 著 祥伝社

NHK「プロフェッショナル」でも紹介された、
「エンツォ・フェラーリ」デザイナーの著書。
(著作権上の問題?か、NHKオンデマンドで見れないのが残念)

中でも共感したのは、著者の言葉で、
「チューインガム プロダクト」という表現。
≒すぐに飽きられる、忘れられる、捨てられるというモノ。
こういう工業製品が多すぎるとの指摘は全く同感で、
製造業の一端として良い物、長持ちする物を生産したり、
逆に愛用したりしなければ、と思った次第。

文中にある携帯電話以外に、自分でも思いつく。
例えば、コンビニで販売している缶コーヒーのおまけ。
フィギュアやミニカー。
販促アイテムだろうが、99%ゴミになる
に違いない。
本当に欲しいと思う人がいるか、強く疑問だ。
そのコストを、正攻法で質の充実に費やしたなら、
きっとおいしいコーヒーに近づくのに。

反対に自分が高い満足度を感じているのは、毎日使う食器。
我が家の洋食器はイタリアの「リチャード・ジノリ」
その過半数。小さい皿でも平気で一枚2000~3000円する。
導入時、我が家では不相応(ブランド信仰?)かと思ったが、
気に入っているため、大切に扱うためだろうか、
7年間で一枚も割ったり、欠けたりしたことがない

長く使えれば、その費用も償却できるし、
エコと言い張ることもできる。

(高価でも)いいものは長持ちするから、もっともっと、
よい製品を応援するような消費行動をしなければ
(とは言いつつ、目先の安さは強い誘惑である・・・)

高いも安いもない、長く愛される物としては、
鉄道車両のデザインがある。

1月には水戸岡鋭治氏のデザインする車両、
JR九州の(「はやとの風」「しんぺい」「つばめ」)に乗車した。
観光色はやや強いが、普段乗っても楽しいだろうデザインだ。
見たり触れたりすれば、そのデザイナーの意図は伝わる。

エンツォ・フェラーリは実物を見ることさえも難しいが、
奥山氏には軽く20年(0系新幹線だと45年!)通用するような、
毎日活躍する鉄道車両をデザインしてもらいたい
と思う。

| | コメント (2) | トラックバック (0)
|

「線路を楽しむ鉄道学」

7/17
「線路を楽しむ鉄道学」(講談社現代新書)今尾恵介 著

この手の本は、
「どうだ、俺はこんなことまで知ってるんだ!」という、
著者のマスターベーション的な視点で構成されてしまう
ことが少なくないが、これはそういうことはない。

線路の敷設には考慮すべき点や、
影響を受ける要素
があって、例えば、
・目的地とはできるだけ直線(短距離)で結びたい
・しかし、日本の地形は急峻
・建設費との兼ね合いをどうするか
・(橋・トンネル建設の)土木技術の水準
・勾配と曲線の設定をどれくらいに設定するか
・見込まれる輸送力
・車両側の性能(登坂力・振子制御・・・)

などが勘案されて決定される。
そして、それは地図を考察することで証明できるよ、と
いう流れで、特徴的な路線について、(当然)地図入りで
丁寧にその理由が説明されている。
著者の専門は「地図」であるので、単なる「鉄」本ではない。

「天井川」の下をトンネルで貫く鉄道など、
あまり紹介されていない項目もあり、面白かった。
(養老鉄道にあるとは知らなかった)

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

「マリーシア」

5/26
「マリーシア」 戸塚啓著 光文社新書

日本におけるサッカーやその観戦において、
戦術やフォーメーションを重視してしまう風潮に
一石を投じた内容だ。
著者も「狡猾(ずるかしこさ)」だけが「マリーシア」を
意味するのではない、と述べている。

自分なりに内容を咀嚼すると
「したたかさ」をどのように試合で発揮するのか、
あるいは、いかに臨機応変に戦えるか、
「ピッチの中の監督」であるべきか、ではないか。
かつての選手であれば、ドゥンガや、清水だったら
(三都主じゃない)サントスのような選手が
そろそろ日本人にも出現してきてもいいと思う。

身近な例にあてはめてみると、
清水エスパルスは明らかに「マリーシア」が不足している。
最近は相手のマリーシアに「してやられる」ことは少なくなったが。
文中にもある2001年天皇杯決勝の小笠原のゴールは
その最たるものだろう。
清水にマリーシアさが少ないのは、監督も選手も正々堂々と
戦うことを望み、実際フェアプレー賞を受賞できるくらいであり、
サポーターも(そういうプレーを)支持しているからだろう。
日本代表においても同じではないだろうか。

負けている状況ではまずいが、バックラインでボールを
ゆっくりを保持することに対して、全てブーイングしてしまうのは
いかがなものかと思う。(前線の)味方を休ませるため、
わざと緩急をつけるため、相手ペースの時間帯を分断するため、
など意図があることも多い。
サポーターもマリーシアでなくてはならないと感じる。

プロ同士の紙一重の戦いだと、少しでも味方に有利なプレーを
積み重ねることは重要だ。汚いファールは累積警告でいつか
破綻してしまうだろうが、汚くはないけど相手のプレーを遅らせ、
パスのコースを限定させる伊東輝悦のプレーなどは、
個人的に十分「マリーシア」に値すると思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

『字がうまくなる 「字配り」のすすめ』

4/11
『字がうまくなる 「字配り」のすすめ』
 猪塚恵美子著 新潮新書 新潮社

字が下手でも、相手に伝わるにはどういった書き方を
すればよいのか、というのが丁寧にまとめられている。

社会人になると、もはや人に字を習うということもない。
同僚・部下で何を書いているかわからない人間が
2~3人いるので、是非読ませたくなった。

究極の方法は字を「ゆっくり書くこと」だという。
それはごもっともなのだが、実際仕事や電話でのメモは
時間がなかったり、慌てた状況で書くことが多いから、
簡単でも難しい。
自分としては、そんな中で(清書の必要のない程度に)
どれだけレベルを上げて書くことができるか、
技術やコツについても言及して欲しかった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

「すごい駅!」

3/27
ナレッジエンタ読本3 すごい駅! 横見浩彦・牛山隆信著
メディアファクトリー

「日本の鉄道駅全て降り立った人」と「秘境駅訪問家」が
推奨する100の駅が掲載
されている。
大都市の駅、温泉が併設された駅、変わった外装の駅などが
選ばれているのではない。
駅の立地そのもの(トンネルの中・橋脚上)や
時間が止まったかのような風情に選択の主眼がある。

自分が一瞬でも通過したことがある駅はそのうち44駅
(思ったより多かった)。この本でも絶賛されているが、
やはり北は釧網本線、南は肥薩線がローカル線の王様だ。
この二路線だけで9駅も紹介されている。
個人的には(賑わいがありすぎてダメかもしれないが)
出雲大社前(一畑電鉄) 西気賀駅(天竜浜名湖鉄道)
川根温泉笹間渡駅(大井川鉄道)などを推奨する。
近隣では飯田線もすごい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

『結婚難民』

3/26
『結婚難民』 佐藤留美著 小学館101新書
 
結婚適齢期の男性を応援・代弁して書かれている本。
景気の問題など、結婚しにくい環境が改善される兆しは
ほとんどない。確かに、非正規雇用から抜け出すのは大変。
しかし、読んで思ったのは、
結婚できない原因を「外」に求めすぎている気がする。
強く願ってそれに応じた行動をしていけば、
大多数の人は“結婚くらい”できるはず。
(自分が結婚できたくらいだから?!)
親の世代までは「お見合い」という「護送船団」方式が
存在していて、流れに任せていれば人生が送れたが、
今は主体性なくして、異性との出会い自体がない。

美人の基準ですら時代で変化するように、
景気や格差に負けない行動や考え方を身に付けないと
取り残されると思った
次第。

『正しい保健体育』 みうらじゅん著 理論社
ついでにこんな一冊も読んでみた。
2004年発刊で、目新しさはないが、
みうらじゅんが凝縮されている。もちろん、下ネタ満載だ。
普通の人が読んだら支離滅裂だが、
破綻せず一冊の本になっているところはすごい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

「地図から消えた地名」

2/10

「地図から消えた地名」
消滅した理由とその謎を探る 今尾恵介著 東京堂出版

著者は「日本鉄道旅行地図帳」の監修、
「タモリ倶楽部」の地図ネタの際にも出演している人。

本には、明治以前の地名から、平成の大合併でなくなった
(そのうち記憶から消える)地名まで、いろいろ採録されている。
(行政の効率化のためには必要だけど)
合併した市町村名は、妥協の産物が往々にして多いので、
漠然としたネーミングだと、さっぱり位置関係がわからない。

南九州市、越前市、では九州や福井県にあることしか把握できない。
中心都市をピンポイントで知覧、武生と名乗ったほうが
(少なくとも観光には)いいのでは。
個人的には、伊豆市と伊豆の国市が隣り合わせで存在する
なんてのは、間違われても仕方がないと思う。

それと、かつて住んでいた近隣に
助兵衛新田(すけべえしんでん)という地名があったのに驚愕。
今では沼津市桃里などと、カモフラージュされているが、
1908年まで、250年以上も助兵衛新田だったとは知らなかった。

珍名奇名については、こちらのHPが詳しい。脱帽だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

「誰も国境を知らない」

1/13

「誰も国境を知らない」
揺れ動いた「日本のかたち」をたどる旅 西牟田靖著
情報センター出版局

意外と年末年始に本を読むことができなかった・・・。

日本の国境を訪ねるルポルタージュ。
特に日本は普通の旅行者が訪ねていける国境(島)は限られる。
他国に実効支配されていたり(竹島・北方領土)
逆に日本が支配・管理していても立ち入りが事実上禁止
(沖ノ鳥島・尖閣諸島)されていたりする。
国内ですら、富士山頂付近の県境もはっきりと決まらないのだから、
国境ともなれば「揉め事」は多く、「緊張は高まり」、
総じて「自然環境も厳しい」ということだろう。

本州では全然そういう感覚は麻痺、というか、ない
(そういう意味で北海道・道東に滞在しているとき、海峡対岸の
 北方領土を意識させる雰囲気はある。やはり「見える」、
 のは大きい)。

ナショナリズムを焚きつけるつもりはないが、
地理で習うだけだった日本の領土が今どうなっているのか、
知ることができる本。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

「デジカメに1000万画素はいらない」

12/12

講談社現代新書「デジカメに1000万画素はいらない」
たくきよしみつ著 講談社

写真入りで、高画素≠高画質 という作例を示されると納得。

自分なりの要約をすると、
「狭い面積(のCCD)に細かい点描を加えてもきれいな画にならない」。
パソコンのディスプレイは200万画素以下なのに、なぜ1000万画素なのか。
商業写真の解像度(350dpi)でA4サイズに印刷するためを考えたのだろう。
これで計算するとちょうど1000万になるから?

自分のデジカメIXY DIGITAL 10(700万画素)は価格の割に非常にきれいに
撮影できると思うし、スクエアなデザインもよい。
ただ、感度を上げた状態(シャッタースピードを上げたり、室内での撮影)
では粒子の粗さがISO400程度でも非常に目立つ。
望遠(100mm相当)なのに背景がボケない。など、不満も出てきた。
これは承知した上で、むしろマクロで3センチまで接近して撮影できるとか、
何枚撮影してもコストはゼロ、というメリットを享受したほうが利口だろう。

文中にも出てきたが、やはり明るい(高性能な)レンズは大きなアドバンテージだ。
レンズの性能はウソをつかない。
キヤノンからも(リコー)GR DIGITAL II あるいは初代IXY DIGITAL Lみたいな
カメラが出てくると良いのだが・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|